8UPPERSの登場人物を考察する
8UPPERS。2010年10月20日に発売された、関ジャニ∞の4枚目のオリジナルアルバムである。
このアルバムの初回盤2種には、8UPPERS FEATURE MUSIC FILMが収録されたDVDがついた。映像は1時間程度の短編映画。5年も前に発売された作品だが、ファンの間でも非常に人気で、未だ続編を望む声が絶えない。
関ジャニ∞のファン以外の方にも是非見ていただきたい作品だが、残念ながらもう新品を手に入れることは難しい。定価が元々高い作品ではあるが、あまり変わらない値段で中古商品が買えるので、興味のある方におすすめしたい。
今回はこの8UPPERS FEATURE MUSIC FILMについて書こうと思う。まずは、あらすじと登場人物をざっと説明。
1.あらすじ
8UPPERS(パッチアッパーズ)。それは社会の闇に住む若き始末屋達。自分達が悪と判断したら容赦はしない、悪には非情な天使達だ。ひとりひとりが違う夢と目的を持った彼らは、同時に熱い結束で結びついた同志でもある。同じ孤児院で共に育った彼ら。それぞれがそれぞれの形をした心の傷を抱えながらも、8UPPERSは今日も悪に泣かされる誰かのためにその始末を買って出ている。
ある日、マックの元に一通の依頼が舞い込む。
切迫した、ただならない雰囲気を察したマックはトッポとジャッキーを連れ立って、指定された場所へ向かう。
運転席から降りてきた女性は辺りをうかがうようにしながら、後部座席から段ボール箱を取り出すとそれを置き去りにしたまま、また乗用車で走り去っていってしまった。
三人は段ボールを開けて顔をゆがめる。中には1歳ぐらいの赤ん坊が入っていたからだった。
ーーーどうか、この子を守ってやってください。
白い封筒の中には、そんな手紙が入っていた。*1
2.登場人物
マック(横山裕)
グループのブレーン。依頼の請負、交渉、仕事の管理業務をこなす。ジャッキーと始末屋の仕事を始め、信頼できる仲間と8UPPERSを組織していった張本人。
様々な武器を用いて特に危険な仕事を担当する。施設で上級生からエアガンをもらったことをきっかけに、ミリタリーグッズにのめりこんだ。リボルバーの銃を使用する。
ジャッキー(村上信五)
巧みな話術で相手の心理をコントロールし。情報の入手や交渉等を行う。食に対する興味とこだわりが強い。施設でマックを助け仲を深める。仲間を思う気持ちは人一倍強い。
ガム(丸山隆平)
マスターしたあらゆる武術で抵抗してくる相手をなぎ倒す。少林寺拳法の道場の四男。しかし本妻の子ではない。天然キャラで普段はおっとりしているが喧嘩になると先頭を切って果敢に戦う。
トッポ(安田章大)
薬品関係に精通しており即効性の睡眠薬や劇薬を作りだす。施設では常にジャッキーと共に行動していた。オンラインゲーム界でその名を知らない者はいない。
エース(錦戸亮)
どんな仕事でも恐れを知らず先陣を切って突っ込んでいく。プロボクサーを目指していたが、先天性の目の病気によりプロテストを不合格になる。ガムに何度も喧嘩を挑むが、勝利したことがない。
ジョニー(大倉忠義)
自慢のルックスで女性を口説き様々な情報を入手する。その甘いルックスから施設でイジメに遭っていたが、ジャッキーに助けられた。ジャッキーに想いを寄せている。
エイト
ダンボールの中に入っていた赤ちゃん。ジョニーが名付けた。
3. 作品を見て思うことあれこれ
この作品は「映画と音楽の融合」が特徴で、物語の鍵となるシーンで登場人物の心情を表したアルバムの曲が流れる。曲から登場人物の想いが汲み取れる新しさも、この作品の魅力である。
また、この作品の登場人物は台詞よりも表情や動作で気持ちを表すシーンが多いと感じる。つまり、登場人物の心情はどこか抽象的で、視聴者の想像に委ねられている部分が多い。
そこで、感じたことや思ったこと、ちょっとした疑問を自分なりに考察してみる。あくまで私の解釈なので、暇つぶし程度で読んでいただければ幸いである。この先も盛大なネタバレがあるので、避けたい方はご注意いただきたい。
・ジョニーはエースが嫌い?①
嫌い、とまではいかないかもしれないが、ジョニーはエースが苦手なように思う。アーセナルがダーツ盤に向かって発砲するシーン。このシーンでは、自分たちの境遇を自虐するエースを制するように、アーセナルが弾を放っている。エースの発言は所謂デリカシーがないというやつだ。
同じシーンで、エースはジョニーに度々話を振るが、ジョニーは冷たい態度しかとらない。
・ジャッキーとトッポの長い付き合い
ジャッキーとトッポは施設にいる頃から共に行動している古い付き合いである。ジャッキーはトッポの出生に関する情報を調べ上げた過去があるほどだ。トッポは元々一人でいるのが好きなタイプであるが、ジャッキーとは特別な関係のようである。マックとジャッキーとトッポで依頼者を待つ車のシーンや、沢村宅で沢村を探すシーンでは、ジャッキーとトッポがお互い遠慮しない物言いで会話を繰り広げていることから、二人が共に過ごした時間の長さが伺える。
・ガムとエースは拳で語る
ガムは実家の道場で一人、本妻の子ではないことから肩身の狭い生活を送っていた過去がある。施設に入ったあとも心を開かなかったガム。一方、エースはガムの施設最強という噂を聞きつけ、喧嘩を申し込む。未だに一度も勝てないことを悔しがり、何度も喧嘩を挑んでくるエースにガムも次第に心を開いていく。
これもエースなりの気遣いだったのかもしれない。ガムとエースは拳で語り合うのが最も良い手段なのだろう。
・買い物で出る登場人物の性格
エイトの日用品を買うために、全員でショッピングセンターに向かう面々。マックとジャッキーとガムはミルクや哺乳瓶などの生活用品係、アーセナルとトッポとジョニーは洋服係、エースは玩具係だ。
マックとジャッキーは、バギーをどれにするか悩んでいるガムを置いて、さっさと車に戻ってしまう。このとき、マックとジャッキーは、あくまで依頼者の子どもとしてエイトを認識し、依頼を守る義務感からエイトに接しているように見える。
一方、ジョニーはエイトの世話に前向き、トッポも既にエイトの世話で散々な目に遭ったのだが、服となると楽しそうに選んでいる。アーセナルはトッポとジョニーが選んだ服にまみれ退屈そうな表情を見せる。
そして、一人単独行動のエースが玩具選びそっちのけ。しかし、玩具売り場の子どもたちに懐かれ、エースの周りにはどんどん子どもが集まってくる。
最初の段階におけるエイト(子ども)との関係が分かるシーンである。
・エイトと心を通わせるエース
面倒臭いから、とエイトの世話をすることを嫌がったエース。しかし、バーで喧嘩に負け目覚めたあとにエイトと心を通わせる。このとき、エースの心を表すのは「願い」という曲。エースは親の虐待によって警察に保護され、施設に入った経緯がある。無言でエイトと見つめ合うエースは、初めてエイトという生命と向き合った瞬間なのだろう。
・「モノグラム」が描く7人の心
モノグラムは劇中でかかるアルバム収録曲。2010年のジャニーズ楽曲大賞でも2位にランクインした人気の高い曲である。*3
この曲は、エイトと7人の何気ない日常、小さな幸せを表したとても優しい曲。歌詞のひとつひとつがあたたかくて、個人的にも大好きな曲である。
カタチはないのに 確かな手触り
温かい 守り抜きたい
もしかしたらこれって"愛"?
こちらは、モノグラム2番の歌詞の一部である。このパートは村上くんのパートなのだが、村上くん演じるジャッキーもエイトに対して初め仕事相手としての感情が強いようだった。親の愛を知らない7人がエイトを通して初めて愛を知り、変わっていく。そんな様子が伺える。
・エースの観察眼と優しさ
エイトへの接し方を悩むアーセナルは公園で一人ベンチで物思いに耽る。エースはすぐに輪を離れたアーセナルに気づき、「どうしたん?元気ないやん」と声をかける。エースは喧嘩っ早く繊細さを備えてないように見えて、人の気持ちには敏感なのかもしれない。
・ジョニーはエースが嫌い?②
①の続き。人の気持ちに敏感なエースはジョニーがジャッキーに想いを寄せていることに気づいている可能性もある。歯に衣着せぬ物言いをするエースは、ジョニーに直接それを尋ねたのかもしれない。
ジョニーの想いを8UPPERSの面々が知っているのか定かではないが、もしも隠しているならば、自分の気持ちを見透かされているようでジョニーはエースを避けてしまいがちなのかもしれない。
・アーセナルがエイトを抱き上げる
今までの態度と打って変わって、エイトと遊ぶエース。その変わりようにアーセナルは戸惑いを隠せずにいた。アーセナルは裏社会で生きてきた自分が、エイトに触れていいのか、迷い悩み続けてきた。
公園でのシーン。エースの言葉に背中を押され、初めて自分の意志でエイトを抱き上げるアーセナル。エースに続いて、アーセナルもエイトに出会い、変わっていく。
・マックとジャッキーの固い絆
依頼者の母親と三人で面会した際、ジャッキーは母親の無責任さに声を荒げて感情を露わにし、マックにそれを止められる。エイトを思うあまり冷静さを失うジャッキーを言葉なしで制するマック。
また、敵地に潜入する直前、ジャッキーの発言に、マックは「俺はお前らとほんまの兄弟やと思ってる。それでええんとちゃうんか?」と投げかける。
マックとジャッキーには他のメンバーにない深い絆があり信頼関係が固い。片方が片方を補いバランスを保っている関係なのだろう。
・ジョニーがエイトを返したくない理由
一連の事件が解決した後、ジョニーだけがエイトを母親の元へ返すことに反対する。8UPPERSのメンバーの中で一番エイトを可愛がっていたのはジョニーであり、メンバーのなかではお母さんのような存在であるという設定もある。
全員が施設で育ったメンバーは、自分がエイトと一緒にいたい気持ちより、母親と暮らせることがエイトにとって最も幸せであることが重要だと理解している。ジョニーは頭の中でそれを分かっていても、エイトを諦めることができない。これも、ジャッキーへの恋心を踏まえた上での小さな赤ちゃんに対する執着なのかもしれない。
・マックという人間
マックはエイトと楽しそうに遊ぶメンバーを見て愛おしそうに微笑んだり、メンバーを納得させる一言を投げたり、リーダー的存在であるマック。このアルバムがリリースされた時期、「マックの日記」が公式サイトで公開されていたこともあり、マックの日記から分かる設定は多い。
マック自身であれば、朝はアーセナルが入れたコーヒーが好き。お酒があまり得意ではない。「なきむし おつきさま 」が人生のバイブルで、劇中でもこの絵本を読んで号泣している。ビシッと決めたスーツ姿と人間らしい部分のギャップが愛おしくなるキャラである。
作品を何度も見直して初めて気づくこともあるので、今後も追記していくかもしれない。先ほども言った通り、正解でもなんでもなく推測の域なので、こういう風にも見れるな〜程度でとどめていただきたいと思う。
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